命を脅かす家から命を護る家に

2017年秋、埼玉県川口市に住む方から一戸建て建物リフォームの依頼がありました。

これより2年程前に、この方が所有する川口市のタワーマンションの1室をリフォームしたいとの相談があって施工業者を紹介しましたが、その時は施工には至りませんでした。

2017年秋、親子の署名入りで、「リフォーム工事の件、一戸建て工事全般に関してお願いします」と書かれたFAXで届いたので直ぐに伺いました。

その建物は、築6年ほどの木造2階建、延床面積25坪程ですが、今どき珍しい伝統構法の建物でした、建築の許可が出るのに1年がかり、建築施工にも1年を費やしたそうです。

石場建て、土壁、木組み、外壁は杉板張り、見学者もあり、ネット上でも紹介されたと聞きました。凝りに凝った建物に引っ越して3年後、90歳になる父親が倒れて不信に思い竣工したばかりの当社へ来て体感、同じ杉の無垢材なのに、その違いに驚いたそうです。

知り合いの伝手で地元の工務店を紹介、設計士を伴っての現場説明、杉の断熱材、床板の総張り替え、内壁も杉板で全て覆うことを説明、天井も全て杉板を張ることを説明、すると工務店の会長が「こんな素晴らしい梁を隠すのですか」驚きの声を上げました。

近くにいた施主は「梁より私たちの命が大切です」と大きな声で応答されました。その後打ち合わせを重ねましたが種々の経緯があって別の業者の施工となりました。

当初の業者、次の業者との打ち合わせは寒い時期でしたが、外部以上に寒さを感じる部屋での打ち合わせには参りました、無垢の杉床板につけた足が吊るのです。無垢の柱に手を当てると体温が返ってこない、むしろ体温が奪われるような珍しい感触でした。

着工前の2018年3月、船瀬俊介氏にこの建物を体感してもらうことに、すると部屋に入って直ぐ右の脳に響くとわずか数分で建物から退散しました。

依頼者の親子は2018年の暮れ、全ての家具も愛工房で乾燥した杉を使った住まいに引っ越しを終えたて喜んでいただきました。その住まいを2月5日、船瀬氏に体感してもらいました。施工前とは全く違う体感に驚き、写真を撮りまくっていました。

人が、一日に食べる食事の重量が約2㎏とすると、その10倍以上もの重量の空気を体内に毎日取り入れています。食べ物は胃や腸を経て各所へ周るが、空気は即座に、脳に肺に身体中へ周ります。食べ物も大切、だけど、空気はもっと大切なのです。

住まいの空気で赤ちゃんから年寄りまで、そこに住む人の、幸・不幸・人生が変わります。

伝統構法で建てた建物、施工業者は人が住むことを忘れていたのではと、思いました。