癒しの空間 オフィス銀の鈴

癒しの空間を提供しているオフィス銀の鈴が、愛工房で乾燥した材で作られた置き板畳を多目的スペースに導入しました。

パネルの搬入、敷設後の様子は、オフィス銀の鈴、鈴木さんのブログ「銀の音」”奇跡の杉が銀の鈴にやってきた” をご覧ください。

また、多目的スペースをご利用されたお客様の声をメールでいただきましたので、下記に掲載させていただきました。

スペース銀の鈴に奇跡の杉のパネルを敷く工事の後、レンタルを始めて、ちょうど一週間が経ちました。

講座や上映会など、延べにすると60名以上のお客様が訪れました。皆さんに気持ちが良いと言っていただけました。

ヨーガの先生からも、「生きた杉の板は、立ってアーサナする時も、足の裏の氣がスムーズに木の中に入っていき、まさに地に足が着くがはっきりと感じられました。シャバーサナも森林浴のように心地よかったです。」とご感想をいただきました。

身体感覚講座の先生にも「身体がすっと伸び、すっきりと立てる。空気が新鮮で、前の講座の残り香もない」と喜ばれました。

私もヨーガレッスンの時には、以前より身体が動かしやすく、呼吸も深くできるのを実感しています。
皆さんの表情も活き活きとして、童心を取り戻せそうと感じました。
自然の中にいることを、都会のビルの中でも感じられるのは嬉しいです。

まだ一週間ですが、心身に良い影響があるのをはっきりと体感しております。
今後もコンサートなどがあるので、音への効果も楽しみです。

奇跡の杉のおかげで、より皆さんに喜ばれる良い空間になりました。ありがとうございます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
オフィス銀の鈴 鈴木洋子

「それは、人を幸せにしますか」

 激暑それに新型コロナ禍の夏、如何お過ごしでしょうか。これまでに経験したことのない予測不可能な未知との闘い、ほんものの人智が試される「時」が到来しています。
 正しく恐れて対処する、「命」優先の思想と実行が肝要であることに気づく「時」です。

 この冊子、私が関与した部分は新型コロナの出現がなければ記事にならなかったでしょう。

 昨年の秋、千葉県鴨川市で1906年創業の老舗の観光土産品の製造販売会社の社長と設計・施工を請け負う業者の方が来所されたのがことの始まりでした。

 施主と施工会社の会長は「愛工房」で乾燥した木材の良さは既にご存じで、計画中の倉庫・事務所棟と社宅棟2棟に使う木材は全て「愛工房」材を使用したいとの意向でした。
 2棟とも平屋建て50坪の建物、構造材、仕上げ材、外壁材も全てを「愛工房」で乾燥した木材を使用することで準備が順調に進んでいた折に新型コロナウィルスの出現です。

 3月に入り1棟目の倉庫・事務所棟の構造材の納材が数日後に迫り、仕上げ材及び外壁材等の発注書を製材所に出した翌日、建築会社の社長からの電話に仰天しました。
 それは、これまでに打ち合わせて取り決めていた資材をキャンセルしたいとのことでした。理由として新型コロナのことが原因だと言われると強く反論できません。
 直ぐに製材所にその旨を告げると絶句し、翌日には厳しい抗議文がメールで届きました。

 建築会社へ電話を入れ三日後、抗議文を持参し鴨川へ赴き施主を交えての打ち合わせをしました。その際、呼吸建材を使って安く上がる方法の資材と、使用法等の提案をしました。
 特にこれから先のウィルスと共生の時代には生きた木材を使うことの重要性を訴えました。

 後日、業者の社長は施主から「伊藤さんの言うとおりにやってくれ」と言われたそうです。この日、2棟目の建物が施主の終の棲家であることを知りました。
 誰だって「命を害するものにしますか、命に良いものにしますか」と問われると答えは一つでしょう。ただし、本物に対する正しい情報と知識、それに感性があってのことですが。

 これで、私が今までに関与してきた建物に設置してきた看板(ウィルスに関しては今回初)を出すことができました。お蔭で室内外での電磁波対策の電気工事の協力もできます。

 ”それは、人を幸せにしますか”  これは、来春80歳になる私の「はたらく(傍楽)」目的です。

 世論時報、昨年2月号『森林大国の可能性』の特集で「愛工房」を”木を生かす奇跡の木材乾燥技術”として紹介した記者に鴨川の建築の経緯について電話をすると是非取材したいとのこと、これが7月号の記事となり、8月号の特集となった次第です。

 なにが起こるかわからない時代にこの地球に生きる私たち、それでも、夢と希望を持って、全ての「命」を大切に、限りある「時」を、有意義に生き抜くことを念じています。

 ご健康ご多幸をお祈りいたします。

2020年8月吉日 伊藤好則

世論時報8月号 特集「新時代に住みたい家」

経済優先から命優先への転換点

「呼吸建材」が建築産業を健康産業に変える

 戦後の日本社会は、経済優先、効率優先で動いてきた。林業も例外ではない。木は切り出した後、水分を抜くために乾燥させる。古来よりその方法は、自然乾燥だった。

 近年、効率を優先し、100°C前後の高温で、短時間で乾燥させる人口乾燥が主流となった。しかし、それでは木が死んでしまう。そのことに気付かされた伊藤好則氏(アイ・ケイ・ケイ株式会社代表)は、45°Cの低温で、木の酵素を生かしたまま、要らない水分を放出する乾燥装置「愛工房」を開発した。愛工房で乾燥させた木材は、本来の色、艶、香り、防虫能力、精油などを保ち、生きた木として活用できる。

 この「生きた杉」の存在を知り、全国からその杉を使って建物を建てたいとの声が上がっている。本特集では、生きた杉で作られた、①個人住宅、②高齢者の住まい(ケアハウス)、③子どもの学び家(幼稚園)、④企業オフィスの4カ所を取材した。それぞれが体感した生きた木の力チカラが、経済優先の価値観を転換させる大きなポイントとなるだろう。

(取材・文 立川秀明)

呼吸建材で建てた「個人住宅」~東京都三鷹市~
空気が違う!エアコン要らずの健康住宅

「設計図も施工業者も人任せにしない」が出発点

 東京都三鷹市の閑静な住宅街。大手ハウスメーカーが建てたであろうスタイリッシュな家が建ち並ぶ中、一軒の木造住宅が異彩を放っていた。

 木の色が濃く、ほぼオレンジ色と言ってよいくらい鮮やかな茶色で、なおかつ艶がある。そのせいで、周囲の家のグレーやベージュの外壁が、かなり地味に見えてしまう。

 家主の吉野文明氏はもともと健康に関心があり、三年前に池袋で開催された千島学説に関する勉強会に、講師として招かれた伊藤氏に出会い、低温乾燥装置による生きた杉の存在を知った。「ずっと木造の家に住みたかったけれど、木のことがよく分からなかったのです。伊藤さんの講演を聞いて、これだと思いました。しばらくして伊藤さんのオフィスを訪ね、生きた杉で自分の終の棲家を建てたい旨を伝えると、『自分の住む家なのだから、まず自分で設計図を描いてみて下さい。そして施工業者も自分で探して下さい』と言われました。最初、お話を聞いた時は丁寧な方に見えたのに、厳しい人だなと思い、考え直そうかと思いました」と吉野氏は笑う。

 建材メーカーの多くは、「お宅の建材で家を建てたい」とお客様が来た場合、付き合いのある設計屋や施工業者を紹介し、そこから紹介料をもらい、自分が主導権を握って商売したがるのが当然だ。しかし、伊藤氏はその真逆だった。「家は誰のための建物なのか、ということです。他でもない、お客様自身のための家ならば、まずお客様自身がどういう家にしたいか、どういう間取りの家に住みたいかを自ら考えて欲しい。そして、その工事を依頼する業者も、自分が信頼する業者を選んで欲しい。伝手が無い場合に限って、こちらから紹介するようにしています」と伊藤氏。

 吉野氏は、慣れない手つきでスケールと格闘しながら、何とか設計図を描き上げた。そして、地元の知り合いの工務店に「こちらで指定する木材で家を建ててもらえるか?」と尋ねると「是非に」との回答が得られ、無事に着工の運びとなった。

風を入れるとすぐに室温が下がる本物の木造住宅

 吉野氏に、この家に住んでみた感想を伺った。

 「とにかく空気感が違います。香りが良くて、温かみがあり、外から入る風が本当に気持ちがよいです。前の家では夜遅くまで起きていましたが、この家に住むと、日が落ちると眠くなってしまいます。そして、朝までぐっすり眠れます。眠れ過ぎてしまうくらいです」

 吉野邸を取材したのは7月の初旬で、すでに日中も30°Cを超す日が続いていた。しかし、エアコンを使ったのは、雨の日の風呂上がりの一回だけだと言う。

 木造の家は、温まりやすく、冷めやすいのが特徴だ。室温が上がっても、風が通るとたちまち室温が下がる。一方、鉄筋コンクリートの家は、暖まりにくく、冷めにくい。夜になっても日中の熱を貯め込んでしまうため、なかなか涼しくならない。

 そもそも、現代において、鉄筋コンクリート住宅が木造住宅よりも好まれる理由の一つは、耐震性の問題にある。どうしても、木造住宅の方が耐震性は弱くなりがちだ。しかし、木造住宅でも、耐震性を高める方法がある。

 伊藤氏は、その方法として、山形県山形市に本社を置く、木造建築の設計・施工会社である株式会社シェルターが開発した「KES構法」を吉野氏に勧め、今回の住宅には全面的にこの構法が導入されている。

 そして、吉野邸がエアコンを使わずに済むほど室内で快適に過ごせる理由は、生きた杉の効果に加えて、断熱材に使われている「フォレストボード」にもある。これは、秋田県にある白神フォレストコーポレーションが開発した断熱性と吸放湿性に優れた、自然素材100%の断熱材である。

 家中に敷き詰められたフォレストボードと生きた杉が作り出す空間は、本当に森の中にいるような空気を五感で感じさせてくれる。

 そして、住む環境の空気が良いことほど、健康にとって重要なことはない。現代の住宅の多くは、ほとんどの壁にはビニールクロスが貼られ、床にはウレタン塗装を施したフローリング材が敷かれている。

 それらの素材から、可塑剤という化学物質が揮発し、空気中に充満する。それを人間が吸って体内に取り入れると、体が「必要のないもの」と認識して排除しようとするが、自然界のものではないため、簡単には排除ができない。

 それでも賢明に排除しようとすることで体内の酵素を消費してしまう。

 その結果、免疫力が落ちて、様々な形で健康を害してしまう。

 また、木造住宅にはシロアリ対策で防腐剤を塗る。天然成分の防腐剤もあるが、安価な予算で作られた防腐剤が使われる。これも少しずつ揮発して空気中に出てきたものを人間が吸って、肝臓や腎臓がダメージを負い、風邪もひきやすくなる。

 これらの症状の総称が、シックハウス症候群と名付けられている。

家を建てるなら健康住宅

 「建築産業で働いている人達の中で、それが健康産業だと胸を張って言える人はほとんどいません。消費者が健康に良い住宅を求めるように変わって行けば、ハウスメーカーも変わらざるを得ないのです」と伊藤氏は語る。それに対して、同社の石原正博氏が次のように続ける。

 「工務店も含めて、ハウスメーカーの役員のほとんどは、自分の会社の家には住まないのは有名な話です。農薬を大量に使って野菜を育てた農家が、自分ではその野菜は食べないという話と同じです」

 こういった真実を伝えないメディアには大きな罪がある。

 家を建てようとする特に若い世代は、限られた予算内でどうやって家を建てられるかを考え、健康のことには目を瞑ってしまう。

 しかし、不健康住宅に住んだがゆえに、病気になり、医療費を払い続けた挙句、早死にしてしまったとすれば、結果的に金銭的に損をするだけでなく、金銭では買えない命を削ることになってしまう。

 空気中に、体で分解できないような化学物質が無ければ、余計な酵素は使わずに済み、体がよく休まるので、自然と疲労回復が進む。

 家を建てる際は、正しい知識を得た上で、健康を害する素材を使っていない健康住宅を、消費者が自ら選んで行かなければいけない。